ジャンル別目次です。
[モチベーションマネジメント]
オオカミ少年:ハーズバーグの二要因理論
よくばりなイヌ:マズローの欲求段階説
みにくいアヒルの子:SMART
一寸法師:BHAG、潜在意識の法則、パラダイムシフト、イノベーション
漁師とマグロ:作業興奮、ピグマリオン効果
幸せの青い鳥:外発的動機づけ、内発的動機づけ、セロトニン
[コミュニケーションスキル]
お腹と足:アサーティブ(アサーション)、DESC法
ねずみの恩返し:ニーズ、シーズ
馬とロバ:合意形成
幸せな王子:ラポール
金の斧:ジョハリの窓
シンデレラ:メラビアンの法則
北風と太陽:閉じた質問、開いた質問、オウム返し
狐と木こり:エントロピー増大の法則
舌切り雀:150人の法則、構造的空隙の理論
[ネゴシエーションスキル]
さるかに合戦:Win-Win or No Deal
[ディベート]
ずるい狐:三角ロジック、階層三角ロジック、トゥールミン・モデル
[ロジカルシンキング]
ブレーメンの音楽隊:バズワード、クリティカルシンキング
狼と七匹の子山羊:MECE、帰納法、演繹法
ヘンゼルとグレーテル:ロジックツリー、ピラミッドストラクチャ、So What、Why So
大きなかぶ:ブレーンストーミング、KJ法
ろばをかついだ親子:マインドマップ
[情報セキュリティ]
王様の耳はろばの耳
[品質管理]
三匹のこぶた:PDCAサイクル
[スケジュールマネジメント]
アリとキリギリス:ガントチャート、TODOリスト、カレンダー
ウサギとカメ:GTD(Getting Things Done)
[コーチング]
ももたろう:コーチングの基本
赤ずきん:Youメッセージ、Iメッセージ、Weメッセージ
[リスクマネジメント]
はだかの王さま
卑怯なコウモリ
[健康管理]
きんたろう:腰痛対策
[セルフマーケティング]
マッチ売りの少女:ランチェスターの法則
キツネとツル:パレートの法則、ロングテール
[キャリアプランニング]
ねずみと鳥とソーセージ:キャリアアンカー
金の卵:π型人間
三年寝太郎:SWOT分析
わらしべ長者:エンプロイアビリティ、ふりかえり、KPT法
星の金貨:戦略的ROI、投資対効果、情報リテラシ
2011年05月01日
2010年04月06日
花咲かじいさん
テーマ:ストラテジー
ある企業に、花坂さんという人がいました。花坂さんは企業のトップ、経営者です。人当たりがよく、分析眼にすぐれています。
花坂さんの部下に、犬本君という優秀な若手がいました。普段の業務のほか、自学自習で普段とは違う分野について勉強していました。その分野は、生まれたてのまだ小さなジャンルで、まだまだ現段階ではお金に変えられるような内容ではありませんでした。
花坂さんは頑張っている犬本君をみて、犬本君が勉強している分野のマーケットを予測し、市場が大きくなることを見込んで、犬本君に投資することにしました。犬本君に権限を与え、そちらの分野の研究に専念できるよう仕事配置を転換し、環境を整えました。
やがて、その分野は急成長。そのタイミングで、犬本君は幅広い知識を持っていたため、業界をリードできる存在となりました。おかげで、花坂さんの会社には注文が殺到し、売上げを急速に延ばすことができるようになったのです。
いっぽう、花坂さんのコンペ企業に、戸鳴さんが経営する会社がありました。戸鳴さんは、花坂さんの様子をみていて、同じように真似をして儲けようと企んでいました。
犬本君と同じように、戸鳴さんの会社にも、ある分野に力を注いでいる部下がいました。その分野は今とても流行っている分野で、これなら間違いないと判断した戸鳴さんは、花坂さんのように投資することを決めたのです。
しかし、戸鳴さんが見込んだ分野は、その後、縮小傾向に。戸鳴さんの企業は、投資に見合ったリターンを得ることができず、赤字に転落してしまいました。
桜の季節にこんにちは。今日は「花咲かじいさん」を題材に取り上げてみます。
物語の二人は、同じような規模で同じように投資を行いました。しかし、花坂さんの企業は成長し、戸鳴さんの企業は衰退してしまいました。
これはなぜでしょうか?
今日のテーマは、PLCとPPM、そしてBCGマトリクスについてです。
順番に見ていきましょう。
まず、PLC。これは、商品ライフサイクル(Product Life Cycle)を表します。
商品には、「人生」と同じように、一定期間のライフサイクルが存在します。
一定の時間が経過するにつれ、徐々に売上が伸びていき、ある点を山のピークに、あとは緩やかに下降していきます。
この曲線を、経過時間のタイミングによって、4つに分類することができます。
・導入期:認知度が少なく需要が少ない状態。珍しもの好きな消費者が手を出す段階。
・成長期:徐々にその商品が浸透し、需要が急激に増加する段階。参入する企業が増加する。
・成熟期:需要量は頭打ちとなるが、参入する企業が増え続ける段階。
・衰退期:需要が減り始め、企業が徐々に撤退していく段階。
この図をもとにすれば、企業は成長期・成熟期に利益を得ることができます。導入期や成長期から参入すると、利益を十分に得られることが可能となります。
それでは少し別の視点から見てみましょう。
次のキーワードは、PPM:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(Product Portfolio Management)です。
これは、複数の商品や事業(プロダクト)を、どのように経営資源分配して組み合わせるか(ポートフォリオ)を管理する概念です。
PPMの代表的なものとして、アメリカのコンサルティング企業ボストンコンサルティンググループが提唱したBCGマトリクスとよばれるものがあります。
これは、縦軸にマーケットの成長性、横軸に市場に対する相対的な自社のシェアを与えたものです。市場-成長マトリクスとも呼ばれています。
BCGマトリクスでは、そのマトリクス上での位置付けにおいて、4つのタイプに分かれます。
・負け犬:自社のシェアも市場成長率も小さい。
・金のなる木:市場の成長要素は小さいが、自社で大きなシェアを獲得している。
・問題児:自社のシェアは小さいが、市場は成長している。
・花形製品:市場が成長し、自社のシェアも大きく持っている。
先ほどのPLCと比較すると、導入期→問題児、成長期→花形製品、成熟期→金のなる木、衰退期→負け犬とマッピングすることができます。
それぞれのタイプ、フェーズでは、どのような対策をとればよいのでしょうか?
最も利益が得られるのは、「金のなる木」に当たる製品や事業です。既に大きな市場で、自社のシェアが大きいわけですから、掛け合わせれば最も採算性が高いという結論が導かれます。この「金のなる木」には大きな追加投資を行わないようにし、ここで得た利益を、「問題児」につぎ込みます。「問題児」に投資することにより、その製品は「花形製品」に位置をシフトできるようになります。「花形製品」はしばらくの間利益をあげるプロダクトなので、その状態を維持するよう努めます。「負け犬」に達したプロダクトは、成長性を見込めないため、早い段階で戦略的撤退を検討します。
冒頭の物語で、花坂さんは「問題児」に投資することで、「花形製品」に変えることができました。しかし、戸鳴さんは「金のなる木」に対して投資をしてしまい、これ以上市場のシェアが広がらず、むしろ縮小してしまったために、赤字化してしまいました。
この分析にあたり、市場をどのように位置づけるか、また、製品が実際にどの分野に位置するのかを、しっかりと定義する必要があります。充分な情報をもとにせずに分析しなければ、想定していた市場自体のパイが大きくならず、割りを食ってしまいます。現代は情報社会。分析材料になる情報は、以前に比べれば簡単に手に入ることでしょう。
自分が携わっている分野や製品の市場状況を調べ、どこに注力をするか。また、どの市場から撤退するべきか。愛着や感情に流されたり、今現在目の前の作業に追われたりなどで、その判断を端的に行うことが難しい人は多いですが、気をつけるべき事項です。
投資を全く行わない事は論外ですが、どのように行うべきであるかについて、慎重に判断しましょう。
ある企業に、花坂さんという人がいました。花坂さんは企業のトップ、経営者です。人当たりがよく、分析眼にすぐれています。
花坂さんの部下に、犬本君という優秀な若手がいました。普段の業務のほか、自学自習で普段とは違う分野について勉強していました。その分野は、生まれたてのまだ小さなジャンルで、まだまだ現段階ではお金に変えられるような内容ではありませんでした。
花坂さんは頑張っている犬本君をみて、犬本君が勉強している分野のマーケットを予測し、市場が大きくなることを見込んで、犬本君に投資することにしました。犬本君に権限を与え、そちらの分野の研究に専念できるよう仕事配置を転換し、環境を整えました。
やがて、その分野は急成長。そのタイミングで、犬本君は幅広い知識を持っていたため、業界をリードできる存在となりました。おかげで、花坂さんの会社には注文が殺到し、売上げを急速に延ばすことができるようになったのです。
いっぽう、花坂さんのコンペ企業に、戸鳴さんが経営する会社がありました。戸鳴さんは、花坂さんの様子をみていて、同じように真似をして儲けようと企んでいました。
犬本君と同じように、戸鳴さんの会社にも、ある分野に力を注いでいる部下がいました。その分野は今とても流行っている分野で、これなら間違いないと判断した戸鳴さんは、花坂さんのように投資することを決めたのです。
しかし、戸鳴さんが見込んだ分野は、その後、縮小傾向に。戸鳴さんの企業は、投資に見合ったリターンを得ることができず、赤字に転落してしまいました。
桜の季節にこんにちは。今日は「花咲かじいさん」を題材に取り上げてみます。
物語の二人は、同じような規模で同じように投資を行いました。しかし、花坂さんの企業は成長し、戸鳴さんの企業は衰退してしまいました。
これはなぜでしょうか?
今日のテーマは、PLCとPPM、そしてBCGマトリクスについてです。
順番に見ていきましょう。
まず、PLC。これは、商品ライフサイクル(Product Life Cycle)を表します。
商品には、「人生」と同じように、一定期間のライフサイクルが存在します。
一定の時間が経過するにつれ、徐々に売上が伸びていき、ある点を山のピークに、あとは緩やかに下降していきます。
この曲線を、経過時間のタイミングによって、4つに分類することができます。
・導入期:認知度が少なく需要が少ない状態。珍しもの好きな消費者が手を出す段階。
・成長期:徐々にその商品が浸透し、需要が急激に増加する段階。参入する企業が増加する。
・成熟期:需要量は頭打ちとなるが、参入する企業が増え続ける段階。
・衰退期:需要が減り始め、企業が徐々に撤退していく段階。
この図をもとにすれば、企業は成長期・成熟期に利益を得ることができます。導入期や成長期から参入すると、利益を十分に得られることが可能となります。
それでは少し別の視点から見てみましょう。
次のキーワードは、PPM:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(Product Portfolio Management)です。
これは、複数の商品や事業(プロダクト)を、どのように経営資源分配して組み合わせるか(ポートフォリオ)を管理する概念です。
PPMの代表的なものとして、アメリカのコンサルティング企業ボストンコンサルティンググループが提唱したBCGマトリクスとよばれるものがあります。
これは、縦軸にマーケットの成長性、横軸に市場に対する相対的な自社のシェアを与えたものです。市場-成長マトリクスとも呼ばれています。
BCGマトリクスでは、そのマトリクス上での位置付けにおいて、4つのタイプに分かれます。
・負け犬:自社のシェアも市場成長率も小さい。
・金のなる木:市場の成長要素は小さいが、自社で大きなシェアを獲得している。
・問題児:自社のシェアは小さいが、市場は成長している。
・花形製品:市場が成長し、自社のシェアも大きく持っている。
先ほどのPLCと比較すると、導入期→問題児、成長期→花形製品、成熟期→金のなる木、衰退期→負け犬とマッピングすることができます。
それぞれのタイプ、フェーズでは、どのような対策をとればよいのでしょうか?
最も利益が得られるのは、「金のなる木」に当たる製品や事業です。既に大きな市場で、自社のシェアが大きいわけですから、掛け合わせれば最も採算性が高いという結論が導かれます。この「金のなる木」には大きな追加投資を行わないようにし、ここで得た利益を、「問題児」につぎ込みます。「問題児」に投資することにより、その製品は「花形製品」に位置をシフトできるようになります。「花形製品」はしばらくの間利益をあげるプロダクトなので、その状態を維持するよう努めます。「負け犬」に達したプロダクトは、成長性を見込めないため、早い段階で戦略的撤退を検討します。
冒頭の物語で、花坂さんは「問題児」に投資することで、「花形製品」に変えることができました。しかし、戸鳴さんは「金のなる木」に対して投資をしてしまい、これ以上市場のシェアが広がらず、むしろ縮小してしまったために、赤字化してしまいました。
この分析にあたり、市場をどのように位置づけるか、また、製品が実際にどの分野に位置するのかを、しっかりと定義する必要があります。充分な情報をもとにせずに分析しなければ、想定していた市場自体のパイが大きくならず、割りを食ってしまいます。現代は情報社会。分析材料になる情報は、以前に比べれば簡単に手に入ることでしょう。
自分が携わっている分野や製品の市場状況を調べ、どこに注力をするか。また、どの市場から撤退するべきか。愛着や感情に流されたり、今現在目の前の作業に追われたりなどで、その判断を端的に行うことが難しい人は多いですが、気をつけるべき事項です。
投資を全く行わない事は論外ですが、どのように行うべきであるかについて、慎重に判断しましょう。
2010年02月16日
星の王子様
テーマ:キャリアマネジメント
星野さんは、ある程度の規模の児童向け玩具メーカーに勤め、事業戦略を導く役割を担っています。
この会社では、玩具の中でもある専門の製品を扱っていたため、狭く深いターゲッティングを行っていました。このメーカーで作られる安全性を深く追求した製品は評判がよく、一定の収益を上げています。
しかし、今回例外なく不況の波にのまれ、最近では収益性が乏しい状況が続いていました。そこで、社内からコストカットによる人員削減案が強く出ていました。
星野さんは、悩みました。不況といえばリストラクチュアリングの話題が巷を席巻しています、自社でもその流れに乗るべきなのだろうか?そう自問しました。
ひとりで考えていたのでは埒があかないと思い立ち、有識者の意見を聞いてまわることにしました。
一人目の意見は、利潤よりも会社のメンツを保つことを第一としていて、本当に有益な情報とは思えませんでした。
二人目の意見は、壮大で一見魅力的な案を雄弁に語りましたが、あまりに投機的で実現性に乏しく、これも厳しく感じました。
三人目は、社内の動きを自省して自浄作用をもくろむ案でしたが、失敗すれば悪循環に陥ることが懸念され、これもリスクが大きいものと判断できました。
四人目は、数値ベースでわかりやすい案でしたが、実現するには管理コストがあまりにも高くついてしまう恐れがありました。
五人目は、全体管理を厳しくすることで品質の統制をはかろうとするものでしたが、逆に自由な発想を損なってしまう恐れがありました。
六人目は、高度な理論をベースとしていましたが、机上の空論に近いもので、実際のビジネスシーンにあてはめるにはやや難がありました。
様々な意見を聞いていくにつれ、星野さんはますます悩んでしまいました。どの案も一長一短があり、決断に踏み切ることができません。
星野さんは、原点に帰りました。この会社が今利益を得て、ユーザから支持を得られているのは、「安全性」につよくこだわったことが評価されているからだと分析したのです。
ここで、事業を多角化することに踏み切りました。これまでの市場ではこれ以上大きな見込めないため、これまでやってきた分野とは異なる場へ進出しました。それぞれの事業における有識者を招き、足りないリソースはアウトソーシングにてまかなうようにしました。しかし、強みである「安全性」のノウハウを生かして展開し、どの事業においても強く意識するよう呼びかけたのです。
この企業では、未知のジャンルへの挑戦ということで、はじめは痛みを伴いました。
ユーザも最初の頃は戸惑いましたが、その会社がこれまで主製品としていたものは評判がよく、そのイメージが違う事業においてもついてまわりました。また、他事業においてもテーマがこれまで同様はっきりとしていたため、ブランドイメージを損なうことなく、よい収益を得ることができるようになりました。
星野さんは成功をおさめることができました。
この企業が強みとして持っていた「安全性」は、形を変えても製品一つひとつに活きていたのです。
本当に大切なことは、目に見えないんだ―そう星野さんは思い、夜空を見上げました。
今回の話は、これまでと少し毛色が異なります。
これまでは、ビジネスを如何に目に見えるようにするか、といった部分にスポットを当ててきました。私が商売で使用している屋号も、mierka(みえるか)です。
しかし、この可視化が有効でない、それを超えたフェーズも存在します。
今回の重要なキーワードは、コア・コンピタンスです。
この言葉をひも解いてみましょう。
コンピタンス(competence):〜に必要な能力、力量、適正
コア(core):核、中心
つまり、コアコンピタンスとは、直訳では「核となる能力」となります。言外の意味を含めると、「他社には簡単に真似・追随できない能力」といったところでしょうか。
この言葉は、ゲイリー・ハメルとC・K・プラハラードが1990年に論文で提唱した、比較的新しい概念です。
核となる能力を持ち、その能力に基づいて経営を多角的に展開していくことが企業の永続性を高めるという主張です。
ここでいう「能力」の大きな特徴として、「目にみえない」ということが挙げられます。通常、経営資源としてはヒト・モノ・カネが代表に挙げられますが、コアコンピタンスではそれらにあてはまりません。ここでは、技術、スキル、文化、特性や人脈などが挙げられます。
具体的な例をいくつかみてみましょう。
アップル社は、マックというPCを販売する会社で、シンプルでスタイリッシュかつ洗練されたデザインを売りにしてきました。昔からデザインや音楽制作向けに強く、根強い人気がありますが、OSではマイクロソフトのWindowsマシンがシェアの大半を占めていました。
ある時、appleは、シンプル・スタイリッシュといったイメージはそのままに、携帯用音楽プレイヤー「iPod」を発売しました。この戦略は成功しました。爆発的な売上を記録し、以前はSONYのウォークマンが携帯音楽プレイヤーの代名詞でしたが、その座を奪還するに至ったのです。
今ではその他にも、音楽配信サービスやiPhoneなど、コンセプトはそのままに、新しい事業をどんどん打ち出しては成功しています。
次に、東芝の液晶技術。テレビから携帯電話、パソコン、各種家電に至るまで、その技術は如何なく発揮されています。この技術も、実際のところは、材料技術、光学技術、企画力などの複合されたものとなっています。
国内ベンチャーに目を向けてみましょう。
「面白法人カヤック」という企業があります。様々なwebサービスを展開している企業ですが、根底には「とにかく面白いことをやる」といったテーマがあり、突き抜けています。話題性がメディアを呼び、広報につながるという良い循環を持っています。
長期的な展望の場合、はっきりと一つの物事だけに焦点をあてるべきではないでしょう。何か一つの物事に特化することは短期的にはとても有効です。しかし、時代の流れに連動して流行り廃りが発生します。保守が過ぎてしまい、あるひとつの物事に固辞し続けた結果、時代遅れになってしまったなどということは、往々にしてあることです。もう少し大きな、理念や憲章に近い形での「見えない」武器を身につければ、一生ものです。
ここで気をつけなければいけないことは、時代が変化するにつれ、理論は変遷し、ユーザの趣味・嗜好も変わっていくことです。それにあわせて、コア・コンピタンスもカスタマイズしていく必要があります。
「なんでもできます!」この言葉を言う人ほど信用できないなどといった話は、ところどころで耳にします。
自身のコア・コンピタンスを形成し、補強し、肉付けしていくこと―これは、ビジネス人生をかけての一大テーマと言えるかもしれません。
星野さんは、ある程度の規模の児童向け玩具メーカーに勤め、事業戦略を導く役割を担っています。
この会社では、玩具の中でもある専門の製品を扱っていたため、狭く深いターゲッティングを行っていました。このメーカーで作られる安全性を深く追求した製品は評判がよく、一定の収益を上げています。
しかし、今回例外なく不況の波にのまれ、最近では収益性が乏しい状況が続いていました。そこで、社内からコストカットによる人員削減案が強く出ていました。
星野さんは、悩みました。不況といえばリストラクチュアリングの話題が巷を席巻しています、自社でもその流れに乗るべきなのだろうか?そう自問しました。
ひとりで考えていたのでは埒があかないと思い立ち、有識者の意見を聞いてまわることにしました。
一人目の意見は、利潤よりも会社のメンツを保つことを第一としていて、本当に有益な情報とは思えませんでした。
二人目の意見は、壮大で一見魅力的な案を雄弁に語りましたが、あまりに投機的で実現性に乏しく、これも厳しく感じました。
三人目は、社内の動きを自省して自浄作用をもくろむ案でしたが、失敗すれば悪循環に陥ることが懸念され、これもリスクが大きいものと判断できました。
四人目は、数値ベースでわかりやすい案でしたが、実現するには管理コストがあまりにも高くついてしまう恐れがありました。
五人目は、全体管理を厳しくすることで品質の統制をはかろうとするものでしたが、逆に自由な発想を損なってしまう恐れがありました。
六人目は、高度な理論をベースとしていましたが、机上の空論に近いもので、実際のビジネスシーンにあてはめるにはやや難がありました。
様々な意見を聞いていくにつれ、星野さんはますます悩んでしまいました。どの案も一長一短があり、決断に踏み切ることができません。
星野さんは、原点に帰りました。この会社が今利益を得て、ユーザから支持を得られているのは、「安全性」につよくこだわったことが評価されているからだと分析したのです。
ここで、事業を多角化することに踏み切りました。これまでの市場ではこれ以上大きな見込めないため、これまでやってきた分野とは異なる場へ進出しました。それぞれの事業における有識者を招き、足りないリソースはアウトソーシングにてまかなうようにしました。しかし、強みである「安全性」のノウハウを生かして展開し、どの事業においても強く意識するよう呼びかけたのです。
この企業では、未知のジャンルへの挑戦ということで、はじめは痛みを伴いました。
ユーザも最初の頃は戸惑いましたが、その会社がこれまで主製品としていたものは評判がよく、そのイメージが違う事業においてもついてまわりました。また、他事業においてもテーマがこれまで同様はっきりとしていたため、ブランドイメージを損なうことなく、よい収益を得ることができるようになりました。
星野さんは成功をおさめることができました。
この企業が強みとして持っていた「安全性」は、形を変えても製品一つひとつに活きていたのです。
本当に大切なことは、目に見えないんだ―そう星野さんは思い、夜空を見上げました。
今回の話は、これまでと少し毛色が異なります。
これまでは、ビジネスを如何に目に見えるようにするか、といった部分にスポットを当ててきました。私が商売で使用している屋号も、mierka(みえるか)です。
しかし、この可視化が有効でない、それを超えたフェーズも存在します。
今回の重要なキーワードは、コア・コンピタンスです。
この言葉をひも解いてみましょう。
コンピタンス(competence):〜に必要な能力、力量、適正
コア(core):核、中心
つまり、コアコンピタンスとは、直訳では「核となる能力」となります。言外の意味を含めると、「他社には簡単に真似・追随できない能力」といったところでしょうか。
この言葉は、ゲイリー・ハメルとC・K・プラハラードが1990年に論文で提唱した、比較的新しい概念です。
核となる能力を持ち、その能力に基づいて経営を多角的に展開していくことが企業の永続性を高めるという主張です。
ここでいう「能力」の大きな特徴として、「目にみえない」ということが挙げられます。通常、経営資源としてはヒト・モノ・カネが代表に挙げられますが、コアコンピタンスではそれらにあてはまりません。ここでは、技術、スキル、文化、特性や人脈などが挙げられます。
具体的な例をいくつかみてみましょう。
アップル社は、マックというPCを販売する会社で、シンプルでスタイリッシュかつ洗練されたデザインを売りにしてきました。昔からデザインや音楽制作向けに強く、根強い人気がありますが、OSではマイクロソフトのWindowsマシンがシェアの大半を占めていました。
ある時、appleは、シンプル・スタイリッシュといったイメージはそのままに、携帯用音楽プレイヤー「iPod」を発売しました。この戦略は成功しました。爆発的な売上を記録し、以前はSONYのウォークマンが携帯音楽プレイヤーの代名詞でしたが、その座を奪還するに至ったのです。
今ではその他にも、音楽配信サービスやiPhoneなど、コンセプトはそのままに、新しい事業をどんどん打ち出しては成功しています。
次に、東芝の液晶技術。テレビから携帯電話、パソコン、各種家電に至るまで、その技術は如何なく発揮されています。この技術も、実際のところは、材料技術、光学技術、企画力などの複合されたものとなっています。
国内ベンチャーに目を向けてみましょう。
「面白法人カヤック」という企業があります。様々なwebサービスを展開している企業ですが、根底には「とにかく面白いことをやる」といったテーマがあり、突き抜けています。話題性がメディアを呼び、広報につながるという良い循環を持っています。
長期的な展望の場合、はっきりと一つの物事だけに焦点をあてるべきではないでしょう。何か一つの物事に特化することは短期的にはとても有効です。しかし、時代の流れに連動して流行り廃りが発生します。保守が過ぎてしまい、あるひとつの物事に固辞し続けた結果、時代遅れになってしまったなどということは、往々にしてあることです。もう少し大きな、理念や憲章に近い形での「見えない」武器を身につければ、一生ものです。
ここで気をつけなければいけないことは、時代が変化するにつれ、理論は変遷し、ユーザの趣味・嗜好も変わっていくことです。それにあわせて、コア・コンピタンスもカスタマイズしていく必要があります。
「なんでもできます!」この言葉を言う人ほど信用できないなどといった話は、ところどころで耳にします。
自身のコア・コンピタンスを形成し、補強し、肉付けしていくこと―これは、ビジネス人生をかけての一大テーマと言えるかもしれません。


