2009年01月29日

三年寝太郎

テーマ:キャリアプランニング

 三根さんは、寿司屋を経営しています。三根さんが住んでいる地域は日本で有数の漁港で、新鮮なネタを比較的リーズナブルに客に提供していました。三根さんの調理技術もなかなかで、絶えず客が来店する繁盛店となっていました。次第に店舗数は拡大し、地元に数店舗を構える規模となりました。

 三根さんは、東京への進出を目論んでいました。地元のネタを直送し、東京で店舗を構えたいと考えていました。しかし、その時点では冷蔵運送の技術がまだ甘く、強みであるネタの鮮度を活かすことができませんでした。首都圏に近い港で水揚げされたネタを使用することが頭に浮かびましたが、人脈がなく、ネタの違いなどによりこれまで築いたノウハウも活かすことができるか不安に思ったため、これを自分の弱みと捉え、その方向は断念しました。多少鮮度が落ちても強行進出しようかとも考えましたが、首都圏では回転寿司チェーンの拡大により、三根さんの店よりも断然安く寿司を食べる事ができました。鮮度の落ちるネタではこれらの店がライバルとなると考えると、とても太刀打ちできないと思いました。脅威になり得ると捉えた訳です。
 三根さんはしばらく調理技術を磨き、教育を続け、地元の基盤を固めることに注力することにしました。しかし、その間あきらめず、いつか進出することを想定して、潜在顧客が多くてかつ競合店舗の少ない都内の好立地を探し続けました。

 それから三年後、地元から東京までの間にある都市と地元の間に、高速道路が完成しました。また、三年の間に運送技術が発達し、鮮度を落とすことなく安価にネタを運ぶ基盤ができました。
 三根さんはこれをよい機会と捉え、都心の一等地を借り上げ、東京進出一店舗目を立ち上げました。これまで地元で培ってきた調理技術と教育が実を結び、地元のネタが鮮度を落とすことなく配送できるようになったことで、ライバル店を安価なチェーン店ではなく味で勝負する高級店に設定することができました。

 出店後の評判は好評でした。味において妥協を許さなかった結果、おいしい寿司をそれほど高くなく食べる事ができると噂になり、地元と同様に、またはそれ以上の繁盛店となりました。

 今回はSWOT分析の話です。この言葉は、経営戦略やマーケティングにかかわる人にとっては日常的に使う言葉で、一般的なビジネスパーソンでも耳にする機会は多いと思われます。

swot.gif


 SWOT分析は、1960年代から70年代にスタンフォード大学で構築された、目標設定のための意志決定ツールです。
 SWOTは、
 ・強み (Strengths)
 ・弱み (Weaknesses)
 ・機会 (Opportunities)
 ・脅威 (Threats)

 の頭文字をあわせた言葉です。
 前者の2つ、強みと弱みは内的要因、後者2つの機会と脅威は外的要因として分析します。
 市場(Customer)、競合(Competitor)、自企業(company)の3Cと、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4Pを念頭におき、マトリクス上に記述します。記述した上で、強みを活かす方法、弱みを克服する方法、機会を利用する方法、脅威からみを守る方法を導出します。導出された方法が実行可能で、目標を達成しうるのなら実行に、目標が達成できないようであれば別の目標を掲げる、時期を見計らうなどの対策を講じます。

 SWOT分析は、自己のキャリアにおける現状分析についても利用可能です。
 個人レベルでの分析を行う場合、SWOTをさらに細分化し、各業界に必要と思われる内的要因、外的要因を羅列します。その項目をそれぞれ○、×または点数式に振り分け、SWOTマトリクスに貼り付けます。何をしなければいけないか、どこを強めるべきかを判断する材料となります。
 外的要因については、現在の要因と未来の要因は変化するので難しい部分はありますが、インフラの整備や経済情勢の変化など、ある程度予測できる部分はあります。また、米国の文化が日本に遅れて入ってくる状況もあり、そういう意味で各方面における最新動向のチェックは欠かせません。

 SWOTに記述する項目は、価値ある戦略を生み出すかどうかに着目して記述します。ただ単に機会だから、脅威だからといって、それをもとに戦略につながらない項目では意味がありません。また、その時は価値のない項目でも後に重要な価値を持つ項目となったり、その逆もまた然りです。定期的な見直しをしましょう。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | にほん無瑕疵話