2009年03月31日

金の卵

テーマ:キャリアプランニング

 鳥居さんは、システムエンジニアです。ERPパッケージと呼ばれる、業務統合型のパッケージを専門に扱っています。この分野は一時期大手企業を中心に導入が加速し、その技術を扱える鳥居さんは、引く手あまたの人材でした。鳥居さんはこの分野が金の卵のように、利益を永遠に産み出してくれると信じて疑いませんでした。

 
 しかし、少しずつ状況が変わってきました。
 このパッケージは全業務を統合するため細かいカスタマイズには向かず、きめ細かいサービスになれた日本の企業とは少しあわない部分が出始めました。ちょっとした機能追加にも大きな費用が必要となり、段々と敬遠されるようになってしまいました。
 次第に鳥居さんには、仕事が来なくなっていきました。
 
 鳥居さんと同期の社員は幅広く業務や技術を経験してきたため、つぶしがききましたが、鳥居さんは他の技術を知りません。新しく学び直すにしても、若い社員のほうが覚えが早く、給与も低めですむので、優先的に若い社員に案件が回されました。

 鳥居さんは最近では、いつクビを切られるんだろう、そう不安な気持ちを抱えたまま会社に足を運んでいます。


 今回は、スキルの身に付けかたの話です。

 スキルや知識の意味付けを、分布図的に表してみましょう。
 横軸にはスキルや知識の幅広さ、下方向には深さの意味付けを行います。

 「一型」は、俗にいう“広く浅く”のタイプです。幅広い知識やスキルを持ってはいますが、深さが全くありません。

 「I型」は、狭く深く、一点集中型の分布です。鳥居さんはこの部類に入りました。

 それぞれの特徴をみてみましょう。「一型」の場合、幅広くカバーしているので色々な人と話ができますが、深みがないので、あまり周りに強い印象を残すことはできません。
 営業職などにこのタイプが多いのですが、表面的な部分をあつらえただけでは本当に顧客の心には響かないかもしれません。ある程度、何かの部分で深み、武器が欲しいところです。
 「I型」は、専門職に多いタイプです。その分野のみを極めているので、その市場が活発な間はかなり有益ですが、市場が閉じてしまったら途端に弱くなってしまいます。また、自分の専門ばかりに注力してしまうため、世間知らずだったり、常識外れな行動をとってしまったりしてしまう人が多くいます。
 少し話がそれてしまいますが、牛丼専門店の吉野家は、牛丼のみを販売するスタイルで絶大な人気を得て株式上場に至りましたが、輸入制限のアクシデントが発生したとたん、一時期は経営危機にまで陥ってしまいました。
 これは企業レベルですが、「I型」の強さと弱さがかいまみえる一例です。

 それではどのようにスキルや知識を身につけるべきでしょうか?
 理想は広く深く(「■型」とでも呼ぶべきでしょうか)ですが、そのようななんでもできる人はほんの一握りです。スキルアップにかけることのできる時間の制約から、そこを目指しても中途半端な位置に収まってしまいます。長期的な視点でのゴールに設定するのはよいかもしれませんが、短期的サイクルでは目標を見失ってしまいます。なんでもできるを目指すと、なんでも中途半端な器用貧乏になってしまいがちです。

 まず私たちが目指すべきは、「π型」(パイ型)の能力分布です。
 一方で見聞を広め、スキルや知識を幅広く身につけます。何気ない会話や新聞・雑誌・ニュースサイトなどを活用しましょう。
 もう一方で、自分の柱になる知識や技術を“二本”身につけます。書籍や参考書を活用しましょう。
 ここで大切なのは、一つだけに特化しないことです。
 この二本には、色合いのことなったものを選択するとよいようです。ジャンルの違う二種類を習得するにあたり、その過程で枝葉の部分が異なっていても、根本的な部分で共通している点が見つかります。そのニュアンスや感覚を掴めば、さらに新しい分野にも手を出しやすい状況になります。

 自分のスキルマップが今どのような形を描いているか確認し、その形を「π型」に近づけてみましょう。きっと目標達成への近道となります。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | イソップ働話