2009年06月26日

舌切り雀

テーマ:人脈構築

 吉田さんと浴張さんは、どちらも営業職。それぞれ、自身のコネクションを作るのに精を出しています。

 吉田さんは、小さなコネクションを大切にしています。身の回りの上下または同期社員をはじめとして、いつもお世話になっている顧客、勉強会やセミナーに参加した際に「この人は!」と思えるようになった人など、自分に関係の深い、もしくはその可能性が高いと思えるような人たちとの関係を大切にしていました。
 そして、時々勉強を兼ねて、自分がこれまで携わっていなかった方面に顔を出すように心がけています。

 浴張さんは、とにかくたくさんの交流会に参加しました。業種問わず様々なイベントに参加し、中には有名な人に出会うこともありました。そして、数多くの名刺を集め、周りに自慢していました。

 ある時、二人は時を同じくして、独立することになりました。

 吉田さんは、これまでに培ったコネクションの中で、懇意にしている人材に挨拶にまわりました。すると、みるみるうちに、資本について協力してくれる者、社員として働きたいと申し出てくれる者、仕事をあっせんしてくれる者が出てきました。

 対して浴張さんは…どこに連絡をいれても、あまり良い知らせが入ってきませんでした。中には連絡しても自分自身を覚えていない人もいましたが、それもそのはず。浴張さん自身も、名刺を前に、その人がどのような人だったかほとんどの情報を忘れてしまっていました。
 きっと、向こうも同じように、浴張さんの事を重要な人物だとみなさなかったのでしょう。これでは、協力者が現れるはずもありません。
 
 「狐と木こり」の回で、人脈構築の際は周囲の基盤を固め、そのうえで活動範囲・フィールドを拡げて、ネットワークを広げていこう、という記事を書きました。
 それでは、知り合いは多ければ多いほうがよいのでしょうか?答えは「否」です。

 今回紹介するのは、150人の法則です。
 イギリスの人類学者、ロビン・ダンバー氏が提唱するこの150人の法則、これは何について述べているものなのでしょうか?

 2人のコミュニケーションを1本の線で結ぶと、1通り。3人それぞれのコミュニケーションを線で結ぶと、3通り。4人それぞれだと、6通り…というように、人が増えるにつれコミュニケーションの数は爆発的に増えていきます。
 これを数式に当てはめると、
  n(n-1)/2
 となり、計算機科学におけるオーダー(O-記法)で表すと、
  O(n^2)
 となります(^は乗数を表す)。
 常識は、人数が増えるにつれ、二次曲線上で爆発的に増えることを意味しています。
 ダンバー氏は、人(霊長類)の脳の処理能力は、一般的に11,000強程で限界に達すると目算し、その結果処理できる人数は約147.8人と、ほぼ150人に等しい結果に帰結すると計算しました。

 また、世界各地に住む民族の集落数を集計し、集落の平均人口が148.4人であると統計しました。

 ある企業では、上法則を取り入れました。工場で働く社員の数を150人に制限し、それを越えるようであれば新たに工場を増やす作戦にでました。すると、その企業は順調に発展していきました。

 例えば、携帯電話のメモリの数。150人ぐらいがせいぜいアクティブにコミュニケーションが取れているのではないでしょうか。SNSなどでも同様です。もちろん人の縁は大切ですので、150人までに制限する必要はありませんが、筆者は端的にこの法則を裏付けていると考えます。

 人は、150人までのコミュニケーションがアクティブに利用できるというのが、この法則です。
 それでは、この150人を、どのように割り振っていくべきでしょうか?基盤をより強固にするため、すべて仲間内で費やすべきでしょうか?

 あわせてもう一点、構造的空隙の理論を紹介します。
 この理論は、シカゴ大学の社会学教授、ロナルド・バート氏が自身の文献「Structural Holes」にて提唱し、東京大学COE特任教授で社会ネットワーク研究所所長の安田雪氏が国内で広めている概念です。

 この理論では、人は、閉じられた、密結合な集団では同質の情報が循環され、知識が硬直化してしまうと説明しています。より「疎」な結合では、ネットワークを図示した際に多くの「空隙(くうげき)」を持つネットワークが、より強い立場に立っている、といった理論です。

 この理論に関しては、国民性や外部からの力など、諸条件を無視しているようにも見受けられます。ただ、内輪で盛り上がっているだけでは進歩しないというのも確かでしょう。
 
 自分が持っているネットワークを構築する人数許容のためのリソースは、150人です。このリソースを、どのように分配しますか?
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | にほん無瑕疵話