2008年12月28日

北風と太陽

テーマ:コミュニケーションスキル

 デザイン会社『天空デザイン』に勤める、北野君と日向さん。二人は同期入社で、在籍年数は3年になります。北野君は人に対して厳しい性格で、逆に日向さんは人当たりのよい性格です。

 ある日、衣類を販売する企業から、ホームページ制作の依頼が入りました。
 北野君と日向さんは、二人で打ち合わせに向かいました。

 北野君「はじめまして、北野と申します。」
 日向さん「はじめまして、日向です。」
 田尾さん「どうもどうも、弊社ホームページ制作に関して私が窓口として担当させていただきます、田尾です。今回は御社にこのようなキャンペーンサイトを制作して頂きたく…」
 田尾さんが希望する内容は、かなり手の込んだつくりのものでした。
 田尾さん「既にキャンペーン広告をうってありますので、ASAPで、これを予算○○円程で納品していただきたいのですが…」
 北野君「えっ!?その値段でですか?それではできませんよ!」
 田尾さん「…できませんか?以前別な会社に依頼したときは大体これ位ならできるということだったんですが…」
 北野君「といわれましても、ちょっとその金額では…この規模を作成するには、大体△△円位の金額が必要です。」
 田尾さん「…そうですか、それではちょっと今回の話を考え直して…」
 日向さん「お受けしたいのは山々なんですがよい品質のモノを作るにはコストと期間が必要になってしまいます。全て実現しようとすれば北野が申しました金額になると想定されます。今回の場合ですと、この部分に大きく時間がかかってしまいます。もしこの箇所を削ってしまえば、大体御社が提案する金額にマッチするかと思われます。」
 田尾さん「あーなるほどですね!この部分はそれほど大きな要望ではないから、削ってしまってもかまわないですよ!それでお願いします。」

 北野君は条件を聞いてはじめから拒絶してしまい、田尾さんの心証を悪くしてしまいます。しかし、日向さんの場合は、イエス・バット法を用いて、一旦田尾さんの提案を受け止めてから、その額面では受けることができない理由を説明し、代案を出しています。また、制作系の仕事の場合、品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery)はそれぞれ相反する関係にあることを説明しています(QCD)。
 田尾さんからすると、ホームページ制作が具体的にどのような部分に時間とお金がかかるのかが分からないので、プロである日向さんはその金額の根拠を具体的に説明しています。顧客視点での考え方が大事だという例ですね。
 日向さんの交渉で、無事、田尾さんの心のコートを脱がすことができました。


 数日後―オファーが確定し、天空デザインの事務所で制作がはじまりました。
 制作チームのメンバーは3名。北野君、ひなたさん、OJTで新人A君が一人着いています。
 ある日、こんなやり取りがありました。

 新人A「あのう、ここの実現のしかたがわからないんですが。。」
 北野君「この本を読んでみなよ、大体同じことが書いてあるから。」
 ―数時間後。
 新人A「すみません、やっぱり読んでみたんですが理解できません…」
 北野君「なんだよー、読めばわかるだろ!」
 新人A「…」
 日向さん「A君、◆◆のやりかたはわかるよね?
 新人A「はい、研修中にやりました。」
 日向さん「じゃあ、この◎◎のやりかたはできるかな?
 新人A「いいえ、似たような方法で△△なら勉強したんですが…」
 日向さん「△△は勉強したのかぁ、じゃあその方法からこの部分をあてはめて、こうすれば、答えが出てくるんじゃないかな?」
 新人A「あ、わかりました!型にはまった考え方をしていたみたいです!」

 この会話をチェックしてみましょう。
 日向さんは、後輩に対して「はい/いいえ」で回答ができる、いわゆる“閉じた質問”をしています。この質問方法では選択肢が2つしかないので、回答者は回答しやすくなります。最終的には“開いた質問”をして、A君の主体性を導いています。この二つを使い分けることで、A君が話しやすい環境を作っている訳ですね。
 また、A君の言ったことをそのまま繰り返す、オウム返しの手法を使っています。A君にとっては話をしっかり聞いてもらえているという、安心感が生まれます。

 
 数日後。

 A君「すみません、この間教えてもらった内容を忘れてしまったんで、もう一度教えてもらえませんか?」
 日向さん「しょうがないなぁ、ここはこうやってこういう風に…」
 北野君「A君、メモをとりなよ。」

 ここでは北野君の言ってる事が正しいですね。
 原作の「北風と太陽」でも、太陽が燦々と照りつけると旅人は帽子を目深にかぶってしまい、北風が帽子を吹き飛ばした、といったエピソードもあるようです。
 何事も適切なアプローチが大切ですね。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | イソップ働話
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