2009年01月28日

狼と七匹の子山羊

テーマ:ロジカルシンキング

 「Yagui Japan Co.」では、働く女性向けのポータルサイトをweb上で運営しています。大神さんは広告部に所属していましたが、人事異動により広告部から企画部に異動となりました。

 大神さんは、これまでやってきた広告を作成する仕事では上からの指示を形にしていく作業をしていましたが、企画部では取り扱うコンテンツ内容から構図・色づかいまで、新しい案を自ら発案していかなければなりません。

 企画部では、日々会議を行い、順にプレゼンし、賛同を得た内容を正式採用する方式を取っています。これまできちんとしたプレゼンをしてこなかった大神さんは、自分の番の際に、これまであたためていた案を発表しました。淡々とプレゼンを進めていきましたが、参加者の反応はいまいちでした。

 何がいけなかったのだろう?大神さんは悩みました。
 企画部では所属する社員が順にプレゼンを進めているため、大神さんが聞き手にまわる事が多くありました。そこで、何人かプレゼンがうまい人を発見し、共通点を見つけました。上手な人は、大切な部分は強調したり、聞き手が退屈そうになった時は少し脱線したりと、話に抑揚がありました。

 大神さんは、それを見習うことにしました。伝えたい部分を強調し、発言に抑揚をつけるようにしました。同様に、プレゼンで使用する資料も淡々と記述されていたので、書き改め、伝えたい事を大きく、話の大筋から逸れる部分や枝葉の部分は小さく記述し直しました。今度は多くの人が興味を持って話を聞いてくれました。
 プレゼンが終わった段階で、会議の参加者から、
 「この結論に至った証跡は?どのようなデータをもとにしたの?」
と、質問されました。しかし、大神さんは自分の頭だけで考えていた案だったため、回答に詰まってしまいました。

 大神さんは再度プレゼン資料を改め、関連するデータを集めてその根拠を示しました。これまで自社で出したコンテンツのうち、人気があったもの、人気がなかったものを分類し、扱っている内容の共通点を見出して、新しいコンテンツとして盛り込みました。同ジャンルのコンテンツについて他社の扱っている状況も調べ、なるべくもれなく重複なく論理を組み立てていきました。自社が有利な点を強調し、弱点を補う形に持っていきました。
 この作業を続けていくうち、当初大神さんが考えていた案は少しずつカスタマイズされていき、自分でもより精度の高い案を出すことができてきたと感じるようになりました。これまで漠然としていた主張が、はっきりと説得力を持つように変化したことに気づきました。

 大神さんのプレゼンは賛同者を多く得ることができ、程なく企画が通りました。この企画がリリースされ、コンテンツは好評を博することができました。

 大神さんが注意したもれなく重複なくの点、MECE(ミッシー、ミーシーなどと読みます)と呼ばれ、網羅性が要求される部分では大切な概念で、ロジカルシンキングの基礎技術となっています。
 MECEとは、
  “Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive”
 の略で、和訳すると「相互に排他的」かつ「総合的に余すところのない」、意訳すると「もれなく無駄なく」となります。

 ロジカルシンキングでは、MECEを実現するために使うフレームワーク、ツールがいくつか存在します。しかし、今回の話の主題とは逸れてしまいますので、それはまた別の機会に紹介します。

 今回は、主張を導くための2つの手法、帰納法演繹法(演えき法)について述べます。

kinou_eneki.gif


 大神さんははじめ、根拠が求められた時にデータを用いていなかったため、説得力に欠ける内容となってしまいました。しかし、最終的にはデータをいくつも用意し、データと関連させて自分自身の主張を引き出して、結論を導きました。
 複数のデータを用意し、そこから仮説を導出し結論を出す方法を、帰納法と呼びます。この手法は統計学に基づいているため、精度の高い情報が多ければ多いほど、よい結論を導き出せます。反面、統計論から抜け出した案を考えにくいという欠点があります。

 ある一般的事象があり、その事象に対して仮説を立て、その仮説に基づいて仮説を立て…これらを繰り返して結論を導出する方法を、演繹法と呼びます。これは、これまでにない新しい案を考える際に特に有効な手法ですが、どこか一か所でも仮説が誤っていた場合は結論に説得力を持たなくなってしまいます。

 どちらの手法にせよ、データや事象が重要視されます。精度の高い情報を元に結論を導きますので、何か主張したい事がある場合には、まず周辺情報を調べる癖をつけることが大切です。
 プレゼンの場で、机上の空論や自己満足に浸った話を聞かされても、説得力を持ちません。

 筆者の職場環境ではその性質上、定量的であることが求められます。例えばあるシステムのパフォーマンスをチューニングした際、「対策前後で、レスポンスが少し早くなった」といっても全く説得力を持ちません。「対策前は反応速度が1.0秒だったのに対し、対策後は0.8秒になった。今回の対策により、0.2秒の改善があった」などの報告が重要となります。

 ビジネスシーンでは数字を重要視される場面が多くありますので、如何にデータと絡め、定性的ではなく定量的に発言しているか、再確認してください。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | グリム働話
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