2008年12月31日

三匹のこぶた

テーマ:品質管理

 ここは、ある国家。
 他国との情報戦争に負けないように、ひとつの人工衛星を打ち上げる事にしました。そのプロジェクトに名付けられたコードネームは、「Wolf」。まもなく開発がスタートしました。

 ある段階まで衛星を作成した場面で、人工衛星を飛ばすには、ある精密で頑丈な部品が必要となりました。チームの技術力ではこの部品を作成することができず、外部に依頼することにしました。

 Wolfのメンバーは、はじめに、国家が推進する研究機関に部品の製作を打診しました。研究機関の名前は「政府主導による惑星研究機関(PIG:Planet Institute by Government)」。大学教授を客員スタッフに迎え、物理学に基づく理論から設計図を作り、部品を作成しました。
 完成した部品を取り付け、いざ打ち上げの段階に。打ち上げたところ、空中でその部品がはがれ落ち、墜落してしまいました。

 次に、大手の重機器を扱う企業に依頼しました。企業名は「豚田重工」。ここではこれまで作成してきた重機器のノウハウを生かし、歪みの少なく高品質な部品を作り上げました。
 同じように部品を取り付け、もう一度打ち上げを行いました。うまく大気圏を超え、周回に乗せることに成功しましたが、数時間後、真空の圧力に耐え切れなかった人工衛星はバラバラになってしまい、スペースデブリと化してしまいました。

 こまったWolfのメンバーは、最後の望みをかけて、日本の町工場に依頼しました。従業員数十人程度の町工場の企業名は、「小部多製作所」。社長の姓を冠した企業です。
 ここでは、これまで何十年と培ってきた制作技術を基に、耐久できるだけの部品を作成するために多方面からの分析を行い計画を立て試作品を作成し、計画通り作成できたかの検討を繰り返し想定される失敗を抽出して排除し、もう一度分析し…これらを繰り返すことで、より精度の高い頑強な部品を作成していきました。

 完成した部品をとりつけ、衛星を打ち上げました。今度は無事成功し、問題なく地球の周りを周回しつづけ、ミッションである10年の寿命を全うすることができました。

 この話はフィクションですが、実際に日本の小さな町工場が、スペースシャトルに部品を提供しています。他にも、時計の文字盤から極細の注射器、果てはiPodの鏡面技術など、隠れたところで日本の町工場の技術が広く使われています。このような実績をみると、日本に生まれたことにうれしさを感じますね。
 
 物語で町工場が物を作っている手順は、品質管理の基本手法のひとつ、PDCAサイクルに則っています。
 PDCAサイクルは、
 ・Plan(計画)
 ・Do(実施・実行)
 ・Check(点検・評価)
 ・Act(処置・改善)

 の4つの段階を繰り返し、継続的な品質改善を行います。
 この概念は、現在では広い意味での「仕事の基本」に使われることが多くなりました。新人研修でこの言葉を習ったかたは多いと思います。知らなかった、言葉だけ聞いたことがあるというかたは、この機会に自分の業務にあてはめることができるかどうか、考えてみるのもひとつの手ではないでしょうか。
 
 夢のある話で今年はひと段落です。
 それではまた来年に、よいお年を!
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | グリム働話
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