2009年01月09日

ももたろう

テーマ:教育

 桃井さんは、塾講師。決して若いとは言えませんが、熟年の魅力を持っています。
 桃井さんの塾では、生徒一人につき先生が一人の、完全個別指導制を採っています。桃井さんの下につく生徒は皆成績がよいともっぱらの評判です。

 4月になり、塾には何人かの新しい生徒が入ってきました。桃井さんの受け持つ生徒は、犬山さん、猿谷君、鳥羽君の3人です。犬山さんはのんびり屋さん、猿谷君は神経質、鳥羽君は論理的思考に弱いタイプです。
 桃井さんは、3人とよく話し、3人のタイプを観察しました。犬山さんは正確に物事を捉える事に秀でています。猿谷君は、細かい計算が得意です。鳥羽君は、創造的な分野に秀でていました。桃井さんは、それぞれの生徒の特質を活かすことにしました。3人に画一的に課題を出すのではなく、それぞれのレベルにあった課題を出すようにしました。
 また、3人の考えをよく聴き、考える力をひきだすために、どうしてそうなるか、3人がそれぞれどう考えてその結論を導いたのかを質問するようにしました。3人は、自分の考えを述べることで、考え方の道筋を捉える事ができるようになりました。自ら考える事を繰り返した結果、3人は勉強も楽しくなってきました。

 その後、3人は順調に成績を伸ばし、鬼のように難しいといわれる名門校の受験にそれぞれ合格することができました。

 教育は、どの企業にとっても永遠のテーマです。どれだけ自分自身が成長しても、一人だけの力では、得られる利益は限られています。後進が成長しないことには、企業の成長はあり得ません。

 以前、筆者の知り合いで、このような人がいました。
 「自分が勉強したスキルは、なるべく他の人に教えたくないんだよね。他の人との差別化も図れるし。」
 いかがでしょうか。確かに一理あります。企業の外に対してであれば、他社との差別化を図るために、なるべくスキルを公開しない、というのも一つの考え方です。しかし、自社内ではどうでしょうか?「金の斧」の回で触れたジョハリの窓では、なるべく他者とコミュニケーションを取って、自己開示とフォローアップを得るべきと論述しました。
 スキルは、ギブアンドテイクです。他の人から教えてもらうだけでは、なかなかよいものは教えてもらえません。自分が得たスキルや考え方を、積極的に周りに提供するべきでしょう。
 
 教えることは、何より、自分のスキルアップにつながります。他の人に伝える場合、なるべく間違った考えを教えないように、自ら体系立てて復習する機会となります。こういったメリットも存在します。
 
 今回は、人材育成方法の一つ、コーチングについて言及します。
 コーチングは、NLPなどの心理学的手法を利用して、ビジネスや個人の目標達成の援助に用いられています。カルロス・ゴーンが日産自動車を復権させた際に使用したとも言われています。

 コーチングの基本を以下に羅列します。
 ・モチベーション
  自ら学習する意欲。これがないと学習効果は望めない。
 ・観察
  対話者を観察、分析し、その個人の能力を伸ばす最善手を考える。
 ・適切な課題
  対話者のスキルを判断し、難しすぎず易しすぎない課題を与える。
 ・コミュニケーション
  双方向性を意識し、対話者の積極性を導く。
 ・考える力
  コーチングのゴール。

 上記は、以下のような式であらわすことができます。 
  考える力 = モチベーション * (観察 + 適切な課題 + コミュニケーション)
 観察、適切な課題、コミュニケーションとそれぞれ重要な項目ですが、モチベーションがなければ効率は大幅にダウンしてしまいます。逆に、モチベーションがとても高ければ、指導者の期待値よりもずっと大きな効果を得られます。

 ベースは、“教えないこと”です。簡単に解決方法を伝えるのではなく、ヒントと質問を繰り返して、正解に導いていくことが、受け手の能動性、考える力を引き出します。上から統制するのではなく、下に裁量、決定権を委譲します。これを繰り返すことで、責任感が生まれ、判断力が増します。明らかに間違った行動をとった場合には、正しい方向へ軌道修正してあげればよいでしょう。コーチングで大切なことは、事実に着目するのではなく、相手に着目することです。「こうするべきだ!」ではなく、「こういう場合、どうすればよいと思う?」と問いかけるべきです。その事実に至るまでの過程を大切にすることで、考える力を養うことができます。

 コーチングは、個人に対して高効率なスキルアップを見込むことができます。「学び」の普遍的な原理に基づいているため、子育て、学習指導、アルバイトや新人教育、管理職研修に至るまで、幅広く活用ができます。反面、対個人の技術なので、集団を同時に成長させることには向いていません。
 
 コーチングには、傾聴、質問、共感からはじまり、様々なテクニックがありますが、画一的なコーチングの手法は通用しません。経験と知識を元に、相手に対して少しずつカスタマイズし、どのようなモチベーション原泉が存在するか、材料を探し、吟味し、練る必要があります。
 基本に述べた各項目を意識すること、それが第一歩になります。コーチングを受ける個人に対して、それぞれの項目でどのような特性を持っているか、考えてみてください。話し合って一緒に考えてみるのも有効な手段ではないでしょうか。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | にほん無瑕疵話
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