2009年01月08日

よくばりなイヌ

テーマ:モチベーションマネジメント

 調理師の乾さんは、調理師学校を卒業して数か月、現在はホテルのレストランで働いています。このレストランはメインディッシュの肉料理が有名で、評判を聞きつけた客が殺到する人気店です。
 先輩達はみな優しく、仕事のしかた、調理方法など、懇切丁寧に教えてくれました。また、給与も同業種内で比較的よい額でした。新しいメニューも積極的に考案し、向上心のある風土でした。
 しかし、朝は早く出勤し、夜は遅くまで働き、休みも少なく、かなり忙しい職場でした。乾さんは、拘束時間が長いことに不満をもっていました。

 ある日乾さんは、友人で同じ調理師学校を卒業した河野さんに会いました。河野さんは現在、カフェで働いています。

 河野さん「どう?最近の仕事は?」
 乾さん「うーん、ちょっと拘束時間が長くて大変なんだよねー。」
 河野さん「そうなんだあ。私のところは時間が決まっているから楽だよ。」
 乾さん「そっかあ、いいなー。」

 その後乾さんは、河野さんと会うたびに河野さんの職場が魅力的に見え、自分の職場の不満がたまっていきました。
 ある日、乾さんは河野さんに、こう話を切り出しました。

 乾さん「私、仕事ばっかりの生活に耐えられなくなっちゃった。ねえ、カフェで調理師の枠があまっていたら、私を紹介してもらえないかな?」
 河野さん「ほんと?わかった、今度訊いてみるねー。」

 それからしばらくして、河野さんの紹介を受け、乾さんは転職することにしました。
 カフェで働き、しばらく経ちました。ここでは労働時間は少ないものの、その分給与も少なく、周りのひとは個人主義で、あまり積極的に助けてくれる雰囲気はありませんでした。また、メニュー数が少なく決まったものしか作らないため、調理師として腕を磨く環境にはありませんでした。
 もともと少し浪費癖のあった乾さんは、前の職場の給料のときと同じ感覚で、現在の収入に見合わない買い物を続けてしまい、生活自体も苦しくなってしまいました。余裕資金が少ないので、せっかく時間に余裕ができても、有効に活用することができない状態になってしまいました。

 乾さん「今思えば、前の職場は高給でスキルも磨けたし、よい職場だったなあ。もっといろんな面で比較して考えればよかったなあ。」

 「隣の芝生は青くみえる」とはよく言ったもので、たいていどこの会社に行っても、また、どのような職種のひとでも、職場に対して何かしらの不満を持っています。
 会社側の立場からすれば、たとえば同じ規模で同じ程度の利益率の場合、得た利益をどこに使うかで、その会社の方向性、社風はある程度決まっていきます。経営者が利益を牛耳っているのでは論外ですが、利益の使途として、社員の給与を重視する会社、福利厚生など環境を重視する会社、教育を重視する会社など、方向性は様々です。完全に自分の考えにあわない、諸条件がみあわないと判断できない限り、どこかに妥協点をみつけ、自分の欲求を充足させる方法を模索するべきでしょう。
 
 マズローの欲求段階説というものがあります。これは、アメリカの心理学者マズローが、人間は自己実現に向かって絶えず成長するものだと仮定して、人間の欲求を5段階に階層化して理論化したものです。自己実現理論とも呼ばれています。
Maslow.gif

 下層から、
 ・第一層:生理的欲求
  生命維持のための食欲、性欲、睡眠欲など本能的欲求
 ・第二層:安全の欲求
  安定や安全を得ようとする欲求
 ・第三層:所属/愛の欲求
  集団に属したい、愛されたいなどの欲求
 ・第四層:承認の欲求
  信用されたい、価値を認められたいなどの欲求
 ・第五層:自己実現の欲求
  自己の能力を発揮して創作活動や自己成長を図りたいなどの欲求

 と定義されます。
 人間の欲求は上層よりも下層の優先度が高く、下層が満たされた段階で上層の欲求を求める、というモデルです。但し、自己実現の欲求だけは、一度充足しても繰り返しより高く求める傾向にあるようです。
 自己実現を果たすと、客観的な判断、包容力、自然な自発性、創造性、差別をしないなどの特性があらわれる、との事です。
 幸いなことに日本においては、治安や経済水準が高く、十分に生命維持を確保できる文明にあります。近ごろ世界同時不況による経済の悪化が叫ばれていますが、先進国の失業率においても比較的低水準で推移しています。
 下層からひとつずつ項目を見直し、順番に解消策を導き、自己実現に至るプロセスを描いていきましょう。段階を飛ばしても、ある時点で満たされていない下層の欲求に差し戻されてしまいます。

 欲求の種類を整理することで、自分が置かれている状況を冷静に分析し、自己を高める方法論を考える足掛かりにしてみてください。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | イソップ働話
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/25212954
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック