2009年04月01日

オオカミ少年

テーマ:モチベーションマネジメント

 尾上くんは、ずぼらな営業マン。話術にはある程度自信を持っているのですが、手続き関係はついつい事務に任せきりにしてしまいます。
 いつもそのようなスタイルなので、書類関係は事務側が渋々用意してくれるのですが、金額の詳細や期日は顧客と最終確認を交わしている尾上くんにしかわからないため、できあがった契約書を確認するよう事務方からせっつかれています。しかし、メールでも電話でも督促されているにも関わらず、尾上くんは「明日までには」「今週中には」と伸ばしのばしにしていました。
 事務側はなかなか約束が守られず、ストレスがたまるいっぽうでした。

 やがて、3月末が近づいてきました。決算の時期です。会社の予算計上の都合上、年度内に完了した案件は〆処理がどうしても必要です。
 事務方からの問い合わせは、熾烈を極めるようになってきました。これまでは仕方ないなあというニュアンスだったのですが、口調もメールの文面も、かなり厳しい調子となっていました。

 それでも、尾上くんはどこふく風状態。一向に処理する気配をみせません。
 事務側は、なんとか間に合わせようと、準備していました。

 決算を迎える当日。尾上くんから、その日は休暇を取ると連絡が入りました。
 事の顛末を知った社内のメンバーは全員脱力。
 ひとりの事務の社員が、ぽつりとこう漏らしました。「あの人、会社辞めればいいのに。」

 この話は、ごく最近に某大手企業で事務をしている友人から聞いた、限りなく実際に近い話です。なかなか極端な例ですが、こういう人も世の中にはいるんだなあと感じました。

 今日の話は、ハーズバーグの二要因理論です。
 ハーズバーグはアメリカの心理学者で、20世紀に労働者の心理を研究した第一人者です。
 彼は、労働者にヒアリングを行い、仕事に対するモチベーション要因には種類があることを発見し、二要因に分けました。
 ひとつは、衛生要因。労働者にとって満たされていないと不満を覚える要因です。不満要因とも呼ばれています。
 もうひとつは、動機付け要因。これらが満たされていると、充実感に満たされる要因です。満足要因とも呼ばれます。

 それぞれ、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。下記に箇条書きで挙げていきます。

・衛生要因
 職場環境
 人間関係
 規律
 健康
 給与(動機付け要因として捉えることも可)

・動機付け要因
 仕事のやりがい、面白さ
 達成感
 承認
 昇進
 名誉

 上の例から、衛生要因はマイナス方向にしか働きません。どれだけサポートされていても、モチベーションがプラスになることはありません(安心感は産まれますが)。しかし、どれかが不足していると、社員のモチベーションは下がってしまいます。
 それとは逆に、動機付け要因が不足していても、モチベーションが下がることはありません。しかし、これらの項目がサポートされると、モチベーションはプラス方向に上昇します。

 企業のあるべき姿は、第一に衛生要因を満たすこと。そのうえで、動機付け要因をサポートできる環境があれば、社員が効率よく業務に携わることができます。
 難しいのは、衛生要因は何もしないと段々と悪化していく点です。物理学のエントロピー増大の法則のように、秩序は外力を与えず放置しておくと次第に混沌に変化してしまいます。この部分はふりかえりを行うなど、定期的に確認しなければなりません。

 それでは視点を変え、企業側からみた労働者が備えるべき姿勢をみてみましょう。企業が労働者に対して期待するという意味合いでのモチベーション要因です。
・衛生要因
 清潔な髪型や服装
 挨拶
 誠実さ
 報連相が遵守されている
 モラルや責任感を持っている
 業界のリテラシーを備えている
 敬語が扱える
 時間、約束を守る
・動機付け要因
 スキルや知識が豊富
 元気がある
 人をまとめられる
 話題が豊富
 熱意がある
 論理的思考ができる

 いかがでしょうか。衛生要因は、まるで新人研修で教わるようなことですね。しかし、長期間働いていくにつれ、その大切さを段々と忘れていってしまっている人も多いのではないでしょうか。 冒頭の尾上くんは、誠実さとモラルの面が不足し、結果的に対人関係や職場環境を損なうことになってしまいました。
 初心忘れるべからず。筆者も肝に命じ、なるべく衛生要因を満たすよう気を付けたうえで動機付け要因側を考えるようにしています。

 今日はエイプリルフール。ちょうどタイミングよく、嘘つきの狼少年の話をもとにした記事になりました。
 楽しい、ユーモアのある嘘は歓迎なんですが。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | イソップ働話
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