2009年04月17日

赤ずきん

テーマ:コーチング

 赤月さんは、大手証券会社に勤務しています。
 証券会社の業務は多忙で、周りのメンバも皆忙しく、ちょっとした事で余裕をなくしてしまいがちでした。

 赤月さんは、新人の売府くんの教育を任されていました。売府くんはプライドが高く、なかなか接しにくい後輩です。
 赤月さんは、自分の業務が忙しいかたわら、並行して難しいタイプの売府くんの面倒をみなければいけないため、少し疎ましく感じていました。

 赤月さんは、日々の業務を報告書形式で提出するよう、売府くんに義務付けていました。毎日業務終了後に報告書があがってくるのですが、ある日の報告書で記述の仕方に不備があり、注意をすることにしました。
 赤月さん「あなたはどうしてこういった書き方をするの?」
 売府くん「違う先輩がこういった書き方をしていたので、参考にさせてもらいました。」
 赤月さん「それはその先輩の書き方もおかしかったのね。(あなたは)もっと自分の判断で行動するべきじゃない?」
 売府くん「はあ、わかりました…。」

 書き直しを要求して、もう一度あがってきた報告書を添削したところ、まだ不備がみつかりました。そこで、もう一度注意をすることに。

 赤月さん「まだ間違ってるなー。あなたはちゃんと勉強してるのかな?」
 売府くん「はあ、申し訳ないです。書き直します。」

 そして、今度は完璧な報告書が仕上がってきました。

 赤月さん「お、今度は大丈夫ね。やればできるじゃない!あなたは将来性があるんだから、がんばってね。」
 売府くん「はぁ、そうですかねぇ…。僕には僕の考え方もあるので…。」
 赤月さん(なんだ、感じ悪いなぁ。せっかく誉めてるのに。)

 赤月さんは、最後に売府くんに咬みつかれてしまいました。
 
 最近では、コーチングという言葉はいろいろな場所で聞かれるようになりました。企業において教育は大きなテーマですが、どこでもアプローチのしかたや教育効率の面で四苦八苦しているようです。この教育の分野において、コーチングは有効なフレームワークとして認識され始めているようです。ビジネスだけでなく、教育の観点から、子育てなどにも応用されています。
 今回のテーマは、コーチングにおける「承認」のしかたについてです。

 コーチングでは、指導対象の相手のモチベーションを喚起するために、承認行為を行います。指導者が対象者を認めることで、対象者は自分の行動が正しい、あるいは間違っていたと認識します。マズローの欲求段階説でも承認は上位の層にありましたが、的確な承認を行うことで、対象者のやる気につながります。

 ここで、メッセージの種類を、主語に誰を置くかという観点からみた3種類、紹介します。
 
 ・YOUメッセージ
  主語を「あなたは〜」にしたメッセージ。
 ・Iメッセージ
  主語を「私は〜」にしたメッセージ。
 ・WEメッセージ
  主語を「私たちは〜」にしたメッセージ。

 これらのメッセージには、それぞれ以下の特徴があります。

 ・YOUメッセージ
  よく用いられるメッセージ。上の立場から下の立場に送られるように感じる。一般論を語られているようで、受け取った人物は、謙遜したり、評価された気分になりモチベーションが下がったりすることがある。

 ・Iメッセージ
  自分はこう思っている、という事を伝える。より親身であることを感じさせる。自分の思いを伝えているので、相手側はそのメッセージ自体を否定できない。

 ・WEメッセージ
  グループ、部署、企業の思いを伝える。Iメッセージよりも大きな括りとなり、連帯感を想起させやすい。

 特に意識をしていないと、YOUメッセージになってしまいがちです。承認の際、場面によって使い分けが必要ですが、IメッセージやWEメッセージがその場その場で使うことができないか考えてみましょう。

 最後に余談ですが、筆者は教育に関してとても苦労しました。はじめは熱意で伝わるだろうと考えていましたが、それだけではうまくいかなかった経験があります。しかし、上記のようなメソッドを取り入れても、私自身が信頼されていなければ、効果は期待できなかったでしょう。同様に、残念ながらあまり信頼できなかった人のIメッセージは、まるで絵空事のように感じました。

 コーチングは様々なメソッドを提供していますが、(ラポールの形成など)信頼関係が結ばれている状態でないとうまく効果が発揮されません。様々な要因が絡みあってはじめて効果を発揮する、コーチング。そのメソッドをカスタマイズして自分自身の方法論、個別の相手に対する応用力を構築していきたいものです。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | グリム働話
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