2009年04月09日

お腹と足

テーマ:コミュニケーションスキル

 原田くんと芦屋くんは、同期入社の社員。二人とも行動的ですが、頑固者です。お互いに似た者同士のわりに、同属嫌悪と呼ぶべきなのか、あまり仲がよくありません。そして、その性格上、二人とも他の社員からもやや疎まれぎみでした。

 今日は、会社の定例飲み会。原田くん、芦屋くんはそれぞれ席を取り、周りの社員と飲み始めました。

 会は進み、どうにも異様な空間が二つ。原田くん、芦屋くんの周りの席です。原田くんは、自分の考える理想論や自慢、個人的に好きな趣味の話を喋り倒しで、全く他の人が話す隙を与えていませんでした。芦屋くんは適度に話を振っていましたが、誰かが発した発言を全て自分の考えとして収束させ、いかに自分が役立っているかの論を展開し、結局原田くんとあまり変わりませんでした。周りの社員ははじめは彼らをヨイショしていましたが、次第に聞き疲れ、少しずつ違う席に離れていきました。
 そうこうしているうちに、芦屋くんの周りから人がいなくなってしまいました。芦屋くんは周りを見渡し、原田くんの周りが空いているのをみて、せっかくの機会だし原田くんと話をしてみようと思い、席を移りました。

 さらに会は進み、異様な空間が、一つ。酔いが回った二人が、大声で言い争っていたのです。会社にとって本当に必要な人間は自分なんだ!という内容でした。周りの社員は、げんなり。早く帰りたい、それだけを考えていました。

 こういうこと、よくありますよね。自分の話ばかりの人との会話は、必要以上に疲れます。せっかくの懇親の場が、逆効果になってしまう、典型的な例です。
 原田くん、芦屋くんはもう少し自分の振る舞いを考える必要があったのですが、周りの社員の対応も正しかったのでしょうか。

 今日の主題は、アサーティブなコミュニケーションについてです。
 
 ある人物が持つコミュニケーションの特性を、自己主張の観点から、次の3パターンに分類します。

 ・アグレッシブ:自己主張を強く表現する。相手の主張を受け付けない。
 ・ノンアサーティブ:自己主張をなるべくしない。
 ・アサーティブ:相手の主張を受け入れたうえで、自己を主張する。

 それぞれのパターンをもう少し掘り下げてみましょう。 アグレッシブな人間は、自己の利益を確保することに特化しています。しかし、周りに過大な負担を強いるため、次第に疎まれる傾向にあります。ドラえもんでいうジャイアンのような人ですね。
 ノンアサーティブな人間は、ことなかれ主義的に、自分の考えをあまり主張しないタイプで、日本人に多くいるタイプです。一見世渡り上手にもみえますが、ビジネスシーンでは実際よりも評価が低く認識されがちです。また、本当に主張したいことを隠してしまい、自分とあわない主張を受け入れてしまうので、不要なストレスを抱えてしまいます。
 アサーティブな人間は、前出の2つのタイプの人が目指すべきポジションです。アサーティブの名詞形assertionは、直訳では「主張、表明」になりますが、微妙なニュアンスが表現されていません。ニュアンス部分含み拡大して意訳すると、「爽やかな自己主張」になります。
 もともとは自己主張ができない患者を改善するために臨床心理学分野で体系立てられた概念ですが、ストレスをためることなく自分を表現することはビジネスパーソンに必要なスキルであるとされ、次第にビジネスシーンで使われるようになりました。

 アサーティブを実現するための代表的な思考フレームワークに、DESC法の概念があります。これは、以下をコミュニケーションの際の土台とする考え方で、以下の順に主張を展開することです。
 ・D:Describe 描写する
  目の前で起こっている事実を客観的に描写し、発言する。
 ・E:Express 表現する、Explain 説明する
  Dに対して、自己の考えを主観的に発言する。
 ・S:Specify 特定の提案を行う。
  Eを踏まえて、主張を提案する。
 ・C:Consequences 結果、Choose 選択する。
  Sの発言の返事を予め予想し、その回答に備える。また、それが満たされなかった場合の代案を用意する。

 これらを実現するにあたって、立場の違いによって阻害されてしまう前提概念があります。以下の例です。
 ・目上の人はどんな場合にも敬わなければいけない。
 ・人の話を絶対に遮ってはいけない。
 ・部下は上司の命令を絶対に聞かなければならない。
 ・お客様は神様だ
 
 いかにも日本人的な考え方ですね。もちろん大前提として上記は大概のケースに当てはまりますが、特定のケースでは必ずしも守らなければいけない訳ではありません。
 例えば、「社員・部下は兵隊だ」という考えの経営者・上司と、夢を共有できるでしょうか。答えは否です。客観的にみて間違っている、自分の考え方にはあわない、そう思う場合はDESC法に従って自分の考えを主張してみましょう。

 コミュニケーションは、言葉と言葉のキャッチボール。投げっぱなし、受けっぱなしでは何も面白くありません。
 「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」と嘆く前に、自分自身の力で主張できる環境を構築していきましょう。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | イソップ働話
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