2009年01月22日

マッチ売りの少女

テーマ:セルフマーケティング

 町田さんの企業では、webを利用したビジネスマッチング業を営んでいます。この企業は、資本金規模の小さい、ベンチャー企業です。

 はじめ、多くの利用者が存在する某大手のサイトを真似て、webサービスを作成しました。模倣を徹底させ、市場や地域など顧客層を全く同一のものと想定して運営していました。
 
 しかし、どうにも利用者数が伸びません。町田さんの想定では、真似たサイトから利用者が流れてくるような作戦を考えていましたが、それほど多くは流れてこないようです。

 町田さんは、サービスの利用可能な地域を拡大しました。本社所在地は東京ですが、大規模に改修し、全国津々浦々、利用可能にしました。
 しかし、改修してしばらく運営を続けたものの、それほど大きな効果は見込めませんでした。

 町田さんは、更に資金を投入し、機能の拡充に努めました。検索機能や登録機能などを、長いコストと資金をかけ、使いやすさを求めました。
 しかし、拡充した部分は、大手のサイト側でははるかに利便性の高い機能を持っていました。相変わらず利用者は想定ほどは増えませんでした。

 打つ手を無くした町田さんは次第にマッチングサイトの開発から離れていき、だんだんと利用者が減りはじめ、やがては利益がランニングコストを下回る結果となり、この分野から撤退するくだりとなりました。

 今回は、ランチェスターの法則について論述します。
 ランチェスターの法則(ランチェスター戦略)は、英国の航空工学エンジニアLanchester氏が発案した、戦闘機による戦闘をシミュレートした場合の軍事工学の方程式です。のちに軍事分野から経営(主にマーケティング分野)に発展し、OR:オペレーションズリサーチに用いられるようになりました。

 ランチェスターの法則は、以下の2法則から成り立ちます。
lanchester.gif

 第一法則:一騎打ちの法則
  互いに一対一での勝負をした場合、純粋に武器性能比によって勝負効率が変わります。弱者の取るべき法則です。
 第二法則:集中効果の法則
  一人の兵がお互いに複数の兵に対して攻撃可能な場合、それぞれが二乗された値に変わります。武器性能比の効果よりも、兵数の多さが勝負の決め手となります。

 弱者は第一法則、強者は第二法則を利用するのが原則です。
 日本の戦国時代を例にとりましょう。関ヶ原の戦いのような広い平地での戦いの場合、お互いに大きな武器性能差がない状態では、巡回セールスマン問題のように数が多いとその選択は大幅に増加するため、兵数差が勝敗を決します。小早川氏の裏切りは、約15%の兵力が移動したことで、とても大きな影響を与えました。これは、第二法則の例です。
 桶狭間の戦いでは、奇襲、雨後を狙う、騎兵の活用などで個々の戦力差を拡大させ、局地戦に限定することで、数倍の兵数を相手に勝利しました。こちらは第一法則の例となります。

 この法則をマーケティングに応用した場合、強者と弱者が取るべき行動は、以下のようになります。
 強者
 ・正攻法で戦う。
 ・幅広い分野を扱う。
 ・他者に追従する。
 ・広い地域で戦う。
 弱者
 ・奇襲、絡め手を使う。
 ・一点に注力する。
 ・差別化を図る。
 ・狭い地域で戦う。
 
 物語の町田さんは、商売の基本であるヒト・モノ・カネにおいて弱者側であるにも関わらず、強者の戦略を使ってしまったのが失敗の要因でした。
 ベンチャーで成功した企業は、差別化を図ってこれまでにないサービスや付加価値を与えたサービスを提供しています。
 日本のIT系企業で検証します。初期のmixiやモバゲータウンは、SNSという日本では新しい概念を、それぞれPC、携帯電話業界に持ち込み、成功しました。弱者の戦略例です。
 また、絶頂期のライブドアは、flickrという海外発の画像コミュニティサイトを、デザインまで似せて自社で作成しました。同様に、体力のついたmixiは、流行したtwitterの機能を真似て、エコーという機能をリリースしました。こちらは強者の戦略例となるでしょう。

 個人単位までミクロ化して考えてみましょう。「差別化」「付加価値」というキーワードはよく聞きます。ある分野において、どんな人でもはじめは初心者ですので、まずは何かしら1点、誇れる知識や技術を身につけることから始めましょう。狭い分野に的を絞り、他が追随できない程スキルを昇華させるか、もしくは全く新しい概念や違うベクトルでのメリットを導きます。
 ある程度その知識やスキルが伸びて「強者」側に入ったと感じた時点で、同系他ジャンルに手を出します。こうして知識やスキルの幅を拡げていくことで、他の人が追随できないようになります。

 この法則はあくまで軍事戦術を元にしているので、勝敗が目的となってしまいますが、win-win、3winであるに越したことはありません。しかし、よい意味でのライバルを作り、自分が相対的に上下どちらにいるのかを判断し、お互いに切磋琢磨する材料として用いるには、なかなかよい概念となるでしょう。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(2) | TrackBack(0) | アンデルセン働話