2010年02月14日

カラスと水がめ

テーマ:キャリアマネジメント

 烏丸君は、ラーメンが大好き。サラリーマンを10年勤めましたが、あまりにもラーメン好きが高じて、趣味でラーメンを作るようになってから、次第に自分で店を開きたい!と思うようになりました。

そんなこんなで脱サラして、店舗を開店。しかし、全く別の業界から新しく始めたため、いくらラーメンが好きといっても、素人の商売。全く店は閑古鳥状態です。

 烏丸君は研究を重ねました。これまではただ単に自分好みの味を追求していましたが、立地上のターゲッティングが合っているかを考え、本当に求められている商品を生み出すべく日夜繰り返して作り直しました。また、マーケティングなどからっきしでしたが、様々な書籍を読みふけり、学習していきました。全く違う業界からの参入のため、理論をいくら覚えてもすぐに忘れてしまいがちでしたが、何度も何度も繰り返し読み込み、自分の立場に関連付けることで、次第に自分が扱える有益な内容へと昇華させていきました。

 こうして烏丸君のラーメン屋は、繁盛するようになりました。
 とくにスープは、
 「おいしいスープが味わえる」
 と評判になり、行列のできる店へと生まれ変わったのです。

 お久しぶりです。
 本業が忙しく、しばらく当ブログが遠い存在になってしまっていました。今日からまた心機一転、再開しようと思います。
 
 今回は、忘却曲線理論のお話です。

 ほとんどの職種において、知識は大切な要素です。このブログでも、“普遍的”という枠を設けていますが、有用なフレームワークを身につけることをメインテーマとしています。
 知識とは、一体どのように身につけるものでしょうか?一つは経験・体験すること。これはどの職業でも基本的な事です。しかし、経験・体験からは、ある限定された知識しか身に付かないのも事実です。ある職業における総知識が100とするならば、自分が経験する事で得られる知識は、その中でだいぶ絞られた数値になってしまうでしょう。職業によって異なるため何とも言えない部分はありますが、筆者が従事している職種上の感覚では、1年間で3〜4、一生かけたとしても(重複知識を含むため)20程度しか得られないのではないかと感じています。

 この足りない部分の知識は、どのように補うものでしょうか?それは、本や書籍を読む、新聞やインターネットで情報を仕入れる、セミナーや勉強会、業務外の飲み会・懇親の席などで人から吸収するなど、形は様々ですが、結局は「学習する」ことに集束されます。
 当ブログの“はじめに”では、こんなことわざを紹介していたのを憶えていますでしょうか。

 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

 繰り返しになりますが、これは本当に重要な概念です。
 あなたがやっている仕事が、人類がこれまでに1度も経験したことがないような事であれば、このことわざは当てはまらないかもしれません。しかし、そのような人はほとんどいないでしょう。
 既存の職業であれば、既存の知識が既に確立しています。今やろうとしている仕事が革新的なものであったとしても、その内容はその職業における過去の知識の蓄積があって、そこから生まれる事でしょう。
 例えば、音楽業界では、様々なジャンルが新しく生み出されています。しかし、これらは、あるジャンルを発展させたもの、あるジャンルとあるジャンルを組み合わせたものなど、過去をベースにしているものがほとんどです。過去に捉われない前衛的なジャンルもありますが、残念ながらそのような類は、一般にはなかなか浸透しにくいものでもあります。

 話がそれてしまいましたので、軌道修正しましょう。
 確立されている理論や歴史を学ぶことはとても重要ですが、経験で得た知識と異なり、学習で得た知識は忘れてしまいやすいという特性があります。

 ここで、エビングハウスの忘却曲線を紹介します。
 これは、記憶の忘却について研究した19〜20世紀ドイツの心理学者、エビングハウスが発見した理論です。意味を持たないつづりの単語をいくつか記憶したところ、20分で40%強、1日で60%弱を忘れてしまったものの、1週間後には80%弱、1月で80%程度の忘却率に留められたという実験結果から導き出されました。記憶の定着率は、はじめは急激に下降するものの、残りの部分はしばらく忘れないという内容で、指数関数的な減少となっています。

 これを踏まえると、学習の際に注意すべき内容がみえてきます。
 それは、以下の2点です。
 
 ・繰り返し学習する
 よく学習塾などでは、復習が大切であると説きます。これは至極もっともな話で、単純にエビングハウスの忘却曲線に照らし合わせれば、1度の記憶において1月で20%程度の定着があるのであれば、残りの80%をもう一度学習すれば、さらにその20%、つまり16%は1月分の定着を行い、合計36%の定着率となります。3度学習すれば64%の2割である約13%が定着し、1月で約50%は記憶している計算となります。実際は既に学習している内容をもう一度学習するのですから、さらに定着率は高まることでしょう。資格試験などでも、いったん学習した後、過去問を数回〜十数回分解く行為は、とても理に適っています。

 ・関連付けて記憶する
 エビングハウスの実験では、全く無意味なつづりを用いました。これが意味のある単語であれば、より緩やかな曲線となると考えられています。自身の興味、また、身の回りの事柄への置き換えを行うことによって、より強固な定着が起こることでしょう。

 会社における新人教育の場で、「簡単に答えを教えるな」とする会社がよくあります。これは、新人に身をもって体験させ、試行錯誤を繰り返させることで、本人の記憶定着率を高めるための行為です。決して意地悪をしている訳ではないんですね。
 
 記憶力がずば抜けている人は、それほど多くはありません。しかし、“繰り返す”、“身の回りの内容に置き換える”の2点を実行すれば、飛躍的に記憶を定着させる力が身に着きます。せっかく学習するのであれば、こうやって長い期間の知識として定着させてしまったほうが、結果的にはお得ですよね。
posted by cozyjet at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | イソップ働話