2009年04月30日

ヘンゼルとグレーテル

テーマ:ロジカルシンキング

 片競さんと暮照さんは、仲良し二人組。メーカーに勤め、商品企画を担当しています。

 二人が考案したある商品は、一定以上の売上をあげていました。お客様の細かい要望を逐次取り入れ、少しずつカスタマイズを加えて、バージョンアップを繰り返していました。
 
 しかし、その商品は、ある時点でぱったり売れなくなってしまったのです。原因が分からなかった二人は、何が原因か、なぜそうなってしまったのかがわからず、今後どのように販売戦略を練るべきか、迷ってしまっていました。

 二人は、今回の問題の原因をブレークダウンする作業に入りました。考えられる原因をもれなく羅列し、さらにそこに至った原因を細分化して考えました。それらに因果関係を持たせるため線で結び、図示したのです。

 問題の全体像を見てみたところ、ある時点でのバージョンアップがお客様の訴求ポイントからずれてしまっていたことが判明しました。
 早速、そこで加えた修正を元のコンセプトに戻すよう指示したところ、また売上があがるようになったのでした。

 これまでの企画の道筋をたどることで、二人は迷子になっていた森の中から、無事抜け出すことができました。
 
 ある複雑な問題があり、それを解決しようとする場合、問題の原因を深く掘り下げていく作業が必要です。
 複雑といっても、分解していくとひとつひとつは単純な問題にあたります。分解した結果がまだ複雑であった場合、さらに分解を繰り返すことで、問題の難易度はブレークダウンされていきます。

 これを図示して利用するロジカルシンキングフレームワークとして、ロジックツリーがあります。
 ある問題をトップに配置し、その原因をひとつ下の階層に列挙します。それらの原因をさらに細分化し、もうひとつ下の階層に列挙します。一般的には三階層まで分割しますが、事象が複雑な場合はさらに細分化していきます。
 図示することで問題の全体像を把握することができ、対策を錬りやすくなります。

 同様に、ツリー構造で事象の把握を行うものに、ピラミッドストラクチャーがあります。これは、マッキンゼー社に初の女性コンサルタントとして入社したバーバラ・ミント氏が考案した図解技法です。
 ある事柄に対して、
 ・So What(だからどうなのか)- トップダウン的アプローチ
 ・Why So(なぜそうなのか)- ボトムアップ的アプローチ
 を考えることで、論理の飛躍を防止します。
 これをそのまま図に示すと、結論と要因の結びつきがツリー構造にあらわされます。
 この図は、論理的なコミュニケーションをはかることを目的として作成します。理論武装の効果的な一種としてとらえるとよいかもしれません。もちろん文書コミュニケーションでも非常に有効な概念です。構造は似ていますが、問題解決を目的とするロジックツリーとは意味合いが異なります。

 どちらの図解方法にしても、クリティカルシンキングの基本であるMECEに則って記述します。物事の全体像がより論理的に表現することが可能となります。
 
 他にツリー構造の図解方式として、特性要因図フィッシュボーンチャート)、因果関係図などがありますが、それらはまた別の機会に。
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2009年04月22日

一寸法師

テーマ:モチベーションコントロール

 あるところに、小さな企業がありました。ここは、町ではかりや電卓などを販売する小売店。
 ある日、その会社は、「世界に進出してやるんだ」という思いから、社名を変更し、「International」の文字をつけたのです。
 これを知った町の人たちは、失笑。誰も本気で大きくなるとは考えません。

 しかし、この企業はどんどんと成長を続けていきました。その信念を貫き、事業の幅を広げ、会社を大きくすることを目標にしたのです。
 そして、自身の会社にしかない、莫大な利益をあげる「うちでの小槌」を産みだしたのです。
 
 かつての小さな小さな企業が、今では様々なライバルに打ち勝ち、すくすくと成長し、世界中の多くの人が知っているような大企業に変身していました。

 この話は、実際にある市場で現在世界的に大きなシェアを持っている大企業の、まだ小さい段階でのエピソードをモチーフにしています。

 ここでは、長期的目標の重要性を語りたいと思います。

 まず、BHAGを紹介します。
 この言葉は、ビジネス書の名著「ビジョナリ・カンパニー」で紹介されている、重要な概念です。
 この「ビジョナリ・カンパニー」、現在大きくなって成功を収めている企業はどのような成長を描いてきたか、帰納法的アプローチでデータを収集し、その共通点を分析しています。先人たちの様々な知見に触れることのできる、とても面白い本です。
 この本によれば、現在巨大な規模となっている企業は、小さい頃にこのBHAGを掲げていた企業が多いと分析しています。

 このBHAGは、Big Hairy Audacious Goalの頭文字を取ったものです。日本語に訳すと、「大きく、困難で、大胆な目標」となります。
 とても実現が不可能なんじゃないかという目標を掲げ、それを実現するために、様々な試行錯誤を繰り返し、イノベーションを産みだしてきた会社。それが、現在の大企業となっている、という内容です。

 この考えは、もちろん個人レベルにも該当する内容です。
 少し別な角度からみてみましょう。
 
 潜在意識の法則というものがあります。
 これは、心理学者であるフロイトやユングが提唱し、マーフィー神父が「成功法則」という名前で味付けして紹介したところ、爆発的にその概念が拡がりました。

 「潜在意識の法則」は、要約すると次の意味を持ちます。
 
 夢や希望は信じれば必ずかなう。

 いかがでしょうか?
 これだけでは、とても胡散臭く感じます。
 こういった言葉は、新興宗教などでよく利用される手法に近いからです。

 しかし、この法則は物事の真の部分をも表していると考えます。
 私の解釈は、こうです。
 大きな目標を“自分にとって当然のもの”として捉えれば、意思決定の速度が格段にあがります。その時点で自分に不足している知識や経験は、即時に補おうと考えるでしょう。
 つまり、目標が決まっていて、その実現を願っていれば、そこまでに至るマイルストンを設定しやすくなります。

 科学史家トーマス・クーンが提唱した「パラダイムシフト」、これがイノベーションにつながるのではないでしょうか。

 私が大変お世話になったある起業家は、とにかく意思決定の早い人でした。彼は、20代で起業し、数年で一定規模の企業に成長させました。彼には、自身の企業のパラダイムがはっきりみえていたことと思います。まっすぐに物事に向かう姿勢には共感・賛同者も多く、これからもその信念が変わらない限り、成長曲線は揺るがないものと思えます。

 私は、このブログの目標を「1冊の書籍とする」ことに置いています。本を書いたことがないずぶの素人である、知名度がない、その他数え切れない程のネガティブ要素はあります。しかし、目標を揺るがせず、文章の書き方、書籍の一般的文字数の調査、構成、ターゲットセグメンテーションなどを日々考えています。
 ビジネススキルの向上、知的好奇心の充足、読後の充実感、これらを自らとこれらの文章を読んでいただいた方とで共有できたら、それほどうれしいことはありません。これもBHAGの一種で、私が現在真摯に取り組んでいるプロジェクトのひとつです。
 結果はどうなるでしょうか。それはまだまだ先の話です。

 今回は、熱い話でした。
 情熱は、人を動かします。
 大きな目標を持ちましょう。そして、単純な「プラス思考」で片付けずに、日々の行動を見つめなおしていきましょう。
 
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2009年04月17日

赤ずきん

テーマ:コーチング

 赤月さんは、大手証券会社に勤務しています。
 証券会社の業務は多忙で、周りのメンバも皆忙しく、ちょっとした事で余裕をなくしてしまいがちでした。

 赤月さんは、新人の売府くんの教育を任されていました。売府くんはプライドが高く、なかなか接しにくい後輩です。
 赤月さんは、自分の業務が忙しいかたわら、並行して難しいタイプの売府くんの面倒をみなければいけないため、少し疎ましく感じていました。

 赤月さんは、日々の業務を報告書形式で提出するよう、売府くんに義務付けていました。毎日業務終了後に報告書があがってくるのですが、ある日の報告書で記述の仕方に不備があり、注意をすることにしました。
 赤月さん「あなたはどうしてこういった書き方をするの?」
 売府くん「違う先輩がこういった書き方をしていたので、参考にさせてもらいました。」
 赤月さん「それはその先輩の書き方もおかしかったのね。(あなたは)もっと自分の判断で行動するべきじゃない?」
 売府くん「はあ、わかりました…。」

 書き直しを要求して、もう一度あがってきた報告書を添削したところ、まだ不備がみつかりました。そこで、もう一度注意をすることに。

 赤月さん「まだ間違ってるなー。あなたはちゃんと勉強してるのかな?」
 売府くん「はあ、申し訳ないです。書き直します。」

 そして、今度は完璧な報告書が仕上がってきました。

 赤月さん「お、今度は大丈夫ね。やればできるじゃない!あなたは将来性があるんだから、がんばってね。」
 売府くん「はぁ、そうですかねぇ…。僕には僕の考え方もあるので…。」
 赤月さん(なんだ、感じ悪いなぁ。せっかく誉めてるのに。)

 赤月さんは、最後に売府くんに咬みつかれてしまいました。
 
 最近では、コーチングという言葉はいろいろな場所で聞かれるようになりました。企業において教育は大きなテーマですが、どこでもアプローチのしかたや教育効率の面で四苦八苦しているようです。この教育の分野において、コーチングは有効なフレームワークとして認識され始めているようです。ビジネスだけでなく、教育の観点から、子育てなどにも応用されています。
 今回のテーマは、コーチングにおける「承認」のしかたについてです。

 コーチングでは、指導対象の相手のモチベーションを喚起するために、承認行為を行います。指導者が対象者を認めることで、対象者は自分の行動が正しい、あるいは間違っていたと認識します。マズローの欲求段階説でも承認は上位の層にありましたが、的確な承認を行うことで、対象者のやる気につながります。

 ここで、メッセージの種類を、主語に誰を置くかという観点からみた3種類、紹介します。
 
 ・YOUメッセージ
  主語を「あなたは〜」にしたメッセージ。
 ・Iメッセージ
  主語を「私は〜」にしたメッセージ。
 ・WEメッセージ
  主語を「私たちは〜」にしたメッセージ。

 これらのメッセージには、それぞれ以下の特徴があります。

 ・YOUメッセージ
  よく用いられるメッセージ。上の立場から下の立場に送られるように感じる。一般論を語られているようで、受け取った人物は、謙遜したり、評価された気分になりモチベーションが下がったりすることがある。

 ・Iメッセージ
  自分はこう思っている、という事を伝える。より親身であることを感じさせる。自分の思いを伝えているので、相手側はそのメッセージ自体を否定できない。

 ・WEメッセージ
  グループ、部署、企業の思いを伝える。Iメッセージよりも大きな括りとなり、連帯感を想起させやすい。

 特に意識をしていないと、YOUメッセージになってしまいがちです。承認の際、場面によって使い分けが必要ですが、IメッセージやWEメッセージがその場その場で使うことができないか考えてみましょう。

 最後に余談ですが、筆者は教育に関してとても苦労しました。はじめは熱意で伝わるだろうと考えていましたが、それだけではうまくいかなかった経験があります。しかし、上記のようなメソッドを取り入れても、私自身が信頼されていなければ、効果は期待できなかったでしょう。同様に、残念ながらあまり信頼できなかった人のIメッセージは、まるで絵空事のように感じました。

 コーチングは様々なメソッドを提供していますが、(ラポールの形成など)信頼関係が結ばれている状態でないとうまく効果が発揮されません。様々な要因が絡みあってはじめて効果を発揮する、コーチング。そのメソッドをカスタマイズして自分自身の方法論、個別の相手に対する応用力を構築していきたいものです。
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